2014年01月23日

絵本『みとりびと』

写真絵本『いのちつぐ みとりびと』

写真・文 國森康弘
農文協

先日、良い絵本を紹介していただきました。
絵本といっても、絵ではなく、写真に言葉がつけられた本です。

写真は、実際の家族を撮った写真です。
著者は、写真家・ジャーナリストで、
近年では看取り、在宅医療、地域包括ケアの撮影に力を入れているそうで、
滋賀・永源寺地域の花戸貴司医師らに同行取材しているそうです。


1、恋ちゃんはじめての看取り

おおばあちゃんが亡くなり、
家族が看取っていきます。

恋ちゃんが冷たいおおばあちゃんの手にさわり、
足をなで、
「ずっと大事にしてくれて、ありがとう」と
キスをする。



あとがきより
大切な人たちがいつか死ぬとき、どんなふうに見送ってあげられるか。そのことをふだんから考え話し合うことは、悲しいことでもあるけれど、とても大切な準備です。
・・・
「いのちのバトン」とは、生き抜く力と愛情といいかえてもいいのかもしれません。
「いのちのバトン」は、大切な人を看取ったときにも、その旅立つ人から受け取ることができます。そして、やがて自分自身が死を迎えるとき、それまで受けついだ生命力と愛情というバトンを、大切な家族たちに受け渡していく番です。「いのちのバトンリレー」によって、自身も、愛する人たちのなかでずっと生き続けるでしょう。



2、月になったナミばあちゃん

みんなに支えられて一人暮らしのナミばあちゃん。

弱ってしまって娘の家に引き取られるが、
最期は我が家で迎えたい。

帰ってきたふるさとで、みんなに見守られながら、息を引き取ります。



3、白衣をぬいだドクター花戸

地域の人たちを訪問診療する花戸医師。
病気の患部を診るのではなく、その人の人生と生活そのものを診ていきます。

「自然におとろえていく体に、医療ができることは少ないけれど、
みんなでそばに寄りそい、見まもり、見おくることはできます。
・・・
安らかな
最期の「寝顔」を見るにつれ、
死はこわいものでも、
敗北でもないことを知りました。」



4、いのちのバトンを受け取って

おじいさん、おばあさんの死にゆく様。
「そのすがたを、子どもたちはしっかりと見ていました。」

あとがきより
いのちは限りあるものだけど、ご先祖さまが代々受け取り、自分たちも一生懸命たくわえてきた生き抜く力-生命力-と愛情というバトンは、私たちのなかにもやどり、そしていつか手渡していくべきものではないでしょうか。




これらの本を読ませていただいて、大変感銘を受けました。

現在、人と人との関係がどんどん稀薄になりつつある世の中です。
お年寄りと若者は別れて暮らし、近所付き合いもなくしていきます。

死にゆく様子を見ていないので、死ぬということがわからない。
それは、生がわからないのと同じであって、
いのちの尊さがわかりません。

「いのちのバトン」に目を向けることで、

親やご先祖のありがたさ、
自分のいのちの尊さ、
子、孫へと受け継ぐことの素晴らしさ、

そういった、いのちの素敵に気づかされるのではないでしょうか。

素晴らしい絵本を世に出してくださって、ありがとうございます。
(写真は農文協ホームページより)


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